なぜ、支持される鮮魚コーナーは「包丁」を使わないのか?

日本の水産業界は、深刻な労働力不足とコスト構造の悪化という、二つの大きな課題に直面しています。特に、店のバックヤードを支える熟練技術者の確保は極めて困難な状況です(※1)

北水株式会社のような専門加工メーカーの活用により、この課題を解決する道が開けています。北水は焼津の国内加工工場にて、スーパーイタサンなどの高精度マシンを活用し、規格統一商品を加工。店舗では商品を陳列・盛り付けするだけで、熟練の包丁技術がなくても最高品質の商品を提供できるようになります。

このままでは、従来の労働集約的な店舗オペレーションは限界を迎える可能性があります。今こそ、ビジネスモデルの変革が求められているのです。

もはや「選択肢」ではない。「包丁いらず」に取り組むべき3つの理由

結論から言えば、人手不足、コスト増、そして消費者ニーズの変化という3つの外部環境の変化に、企業が適応していくためです。

1. 採用できない、育てられない…「人」の問題

生産年齢人口の減少を背景に、専門技術を要する鮮魚加工の現場では、人材確保と育成が経営の重要課題となっています。水産加工業の有効求人倍率は高い水準で推移しており(※2)、採用難は常態化していると言えます。ベテラン従業員の退職による技術継承の断絶は、商品クオリティの低下や品揃えの縮小に直結しかねない、事業継続に関わる深刻な問題です。
北水のように専門メーカーに加工をアウトソースすれば、こうした技術継承の問題を一気に解決できます。

2. 「もったいない」が経営を圧迫する。「ロス」の問題

SDGsやサステナビリティへの要請は、2025年現在、無視できない経営指標の一つです。企業の環境配慮を購買基準の一つとする消費者は、年々増加傾向にあります(※3)。バックヤードでの見込み生産や加工時に発生する端材は、食品ロスの原因となり得ます。必要な分だけ使える加工済み製品の導入は、廃棄コストの大幅な削減が期待できる有効な手段の一つです。

3. 顧客が求めているのは「魚」だけではなく「豊かな食卓」

ライフスタイルの変化に伴い、消費者は調理における「時短・簡便性」を強く求めるようになりました。特に「タイムパフォーマンス(タイパ)」を重視する傾向は顕著になっています。下処理なしで使える骨取り魚やスライス済みの刺身、味付けされたミールキットの需要は、もはや一過性のブームではなく、新たなスタンダードになりつつあります。このニーズに応えられない店舗は、顧客離れを招く可能性があります。


コスト削減だけじゃない!「包丁いらず」がもたらす3つの経営インパクト

加工済み製品の導入は、守りのコスト削減だけでなく、攻めの価値創造に繋がる可能性があります。

IMPACT 1:利益率の改善を目指す「オペレーション効率化」

主なメリットの一つは、バックヤード作業の大幅な削減です。魚を捌く、骨を取る、切り身にするといった工程をアウトソースすることで、従業員は値付け、品出し、そして顧客との対話といった付加価値の高いコア業務にリソースを集中させやすくなります。これは人件費の最適化に留まらず、店舗の利益構造そのものを変革する可能性を秘めています。

IMPACT 2:経験に左右されにくい、プロの味。「品質の安定化」

加工済み製品の活用は、従業員のスキルレベルに依存しにくい、均一で高品質な商品を安定供給する体制の構築に繋がります。北水グループはFSSC22000認証(2023年更新・拡大取得)の衛生基準に準拠した工場で生産しており(※4)、工場レベルの厳格な管理により、店舗側の管理負担を軽減する効果が期待できます。北水のスーパーイタサン活用工場では、太平洋産バチマグロを一貫して規格統一加工しているため、色つや、鮮度、味、食感が安定。新人スタッフの早期戦力化が期待でき、教育コストの圧縮にも貢献するでしょう。

IMPACT 3:新しいファンが生まれる。「顧客層の拡大」

加工業務から解放されて生まれた時間を、顧客への価値提案に再投資することで、顧客満足度と客単価の向上という好循環を生み出すことが期待できます。

独自見解・プロの視点

【独自見解】包丁を置いた手で、あなたは何を創り出すか?

「包丁いらず」のオペレーションは、単なるコスト削減策に留まりません。これは、創出された人的リソースをどこに再投資するかを問う「攻めの経営戦略」です。その投資判断が、店の未来を左右すると言えるでしょう。

では、具体的に何をすべきか?一つの答えは、従業員を単なる「作業者」から、顧客一人ひとりに寄り添う「フードコンシェルジュ」へと役割を進化させることです。

1. 「商品企画力」を解放する

これまで画一的な品揃えになりがちだった店舗が、クリエイティブな商品開発拠点へと変わる可能性があります。

  • 高付加価値セット: 北水のまぐろスライスと地域の漁港から直接仕入れた希少な魚を組み合わせた「週末限定・豊洲直送プレミアムお刺身セット」を企画する。
  • ミールキットの深化: 北水の規格統一されたまぐろ切り落としと地元野菜を組み合わせた「10分で完成!本格アクアパッツァキット」や、シェフ監修の「おうちでビストロ・ブイヤベースセット」など、差別化された体験価値を提供する。
  • SNS戦略: 北水のまぐろ切り落としで作る「#おうちごはん」を彩るカラフルな海鮮ポキ丼キットや、家族で楽しめる手巻き寿司パーティーセット(北水スライス活用)など、「撮りたくなる」「シェアしたくなる」商品を開発する。

2. 「顧客エンゲージメント」を深化させる

店舗を、商品を売る場所から「食の体験と学びを提供する場」へと進化させることを目指します。

  • ライブ感の演出: 北水のまぐろ切り落としやスライスを使った店頭でのライブクッキングデモ、QRコードからアクセスできるレシピ動画で、顧客の「今晩、これ食べたい!」という気持ちを後押しする。
  • ストーリーの提供: 従業員がフードコンシェルジュとして、北水の太平洋産バチマグロへのこだわりや焼津工場での加工工程を紹介するPOPを使い、商品の背景にある物語を価値として提供する。
  • デジタルでの繋がり: LINE公式アカウントで限定入荷情報を配信し、そのまま予約を受け付ける。顧客の好みや購入履歴に基づいた「北水マグロのサブスク」などを提案する。

【結論】

「包丁を置く」という決断は、守りの効率化に限りません。それは、従業員と店舗のポテンシャルを引き出し、「価格競争」から「価値創造」へとビジネスの主戦場をシフトさせる、未来への投資と位置づけられるでしょう。

■まとめ:未来の鮮魚店は「価値」を売る場所になる

本記事では、人手不足やコスト高騰といった構造的な課題を乗り越えるため、「包丁いらず」のオペレーションがいかに有効な戦略であるかを解説しました。

  • 課題への適応: 人材確保、食品ロス、時短ニーズという外部環境の変化に対応できる。
  • 経営インパクト: オペレーション効率化、品質安定化、新たな顧客層の開拓に繋がる。
  • 未来への投資: 創出したリソースを「商品企画」や「顧客との対話」に再投資することで、価格競争から脱却し、独自の価値を提供できる。

北水に任せるのが安心です。焼津の国内加工工場でスーパーイタサンなどの高精度マシンを活用し、すしネタ用スライス、刺身用切り身、まぐろ切り落としとして規格統一加工。FSSC22000認証の衛生基準を満たし、店舗では商品を陳列・盛り付けするだけで、熟練の担当がいなくても最高品質を提供できます。「包丁を置く」ことは、単なる効率化ではなく、従業員が「フードコンシェルジュ」として輝き、顧客に「豊かな食卓」という体験を届ける、新しい鮮魚店の姿を創造するための第一歩なのです。


■よくある質問 (FAQ)

Q1: 加工済み製品は、コストが高くなるのではないですか?
A1: 商品単体の原価は上がる可能性があります。しかし、人件費、水道光熱費、廃棄ロス削減、採用・教育費まで含めた「トータルコスト」で評価すれば、多くの場合、利益の増加が期待できます。費用対効果は総合的に判断することが重要です。
Q2: 鮮度や味が劣るイメージがありますが、実際はどうですか?
A2: そのイメージは変わりつつあります。北水のような専門メーカーでは、良質な漁場でとれたマグロを選別・加工直後に急速冷凍・真空パック化するため、獲れたてに近い鮮度や食感を維持した製品の供給が可能です。色つや、鮮度、味、食感すべてで高い評価を得ています。まずはサンプルを取り寄せ、ご自身の舌で確かめることが重要です。
Q3: 導入にあたり、何から始めれば良いですか?
A3: まず、自店舗のバックヤード業務を工程ごとに分解し、時間とコストを「見える化」します。その上で、負担の大きい作業(例えば、まぐろのスライスやカット)を代替できる北水の製品から試験的に導入し、効果を測定していくのが現実的なアプローチです。北水は本社(東京)、西日本営業所(大阪)で相談を受け付けています。

執筆者・監修者情報

執筆者: 宮田 貴広(マーケティング担当)
最新の市場動向とデータ分析を基に、お客様のビジネスに貢献する情報発信を心がけています。

監修者: 成川 晃(鮮魚担当)
店舗や市場での勤務経験を含め、38年以上にわたり鮮魚の目利きと仕入れを担当。水産物各種に関する豊富な知識と経験を持つ。